保険に加入している方は、どのように返戻金の使い道と解約時期を考えて保険に加入しているのでしょうか。
渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
- 詳しいプロフィール
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決算対策として法人保険をよく聞きますが、解約時の返戻金の使い道を考えると加入に躊躇します。
退職金や事業拡大、設備投資以外に思いつきません。
保険に加入している方は、他にどのような返戻金の使い道と解約時期を考えているのでしょうか。
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おっしゃるとおりで、保険の解約返戻金の使い道(出口戦略)は、退職金や事業投資、設備投資といったものしかありません。
しかし、出口戦略がないからと言って利益を繰り延べせずに法人税を払うのも決して効率的とは言えません。
そのため、私はクライアントに以下の方法を提案しています。
- 解約時期が決まらなくても出口戦略が決まるまで、繰り延べし続ける方法
- 個人へ利益を移転する方法
使い道ができるまで繰り延べする方法
保険の「失効」機能を活用します。
返戻率が高くなった時点で保険料の支払いをストップすることで、保険契約を失効させることができます。
契約が失効すると死亡保障はなくなります。
しかし、返戻金を受け取る権利は残り、必要な時期まで据え置くことができます。
当社のクライアントも、出口戦略がありませんでした。
そのため、失効機能を使う選択肢を残し、比較的長期間の繰り延べに向いている長期平準定期保険に加入しました。
個人へ利益を移転する方法
逓増定期保険に加入し、名義変更を活用します。
一般的に、保険解約後に個人へ利益を移転した場合、金額が大きくなると約50%の所得税がかかります。
しかし、逓増定期保険の名義変更を用いることで、税負担は20%ほどにまで抑えられます。
逓増定期保険は、短期間で返戻率がピークになる特徴があります。
そのため、保険料の支払い期間も短く、保険料を高めに設定し大きなお金を移転するのに向いています。
退職時期まで待たずに、退職金と同等の金額を個人へ移転することができるので、解約返戻金の使い道がない場合におすすめです。
クライアントの加入事例は、以下のページで詳しくご紹介しています。