合法的に法人税を抑えられる節税スキームを教えてください。

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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ネットやサイト広告では、「節税できる」という商品や手法がたくさんあるのを見かけます。

そのような商品というのは、なぜ節税できるのかスキームをおおまかに知りたいです。

世の中にある節税スキームを教えてください。


合法的な法人税の節税スキームとして、サクセスフューチャーが実践してきたものを以下6種類ご紹介します。

  1. 短期減価償却を使ったスキーム
  2. 10万円未満の少額減価償却資産を使ったスキーム
  3. 中小企業経営強化税制を使ったスキーム
  4. 海外法人の設立スキーム
  5. 匿名組合への出資を使ったスキーム
  6. 掛金が損金になる積立商品

1、短期減価償却を使ったスキーム

時間の経過とともに価値が減少していく固定資産は、国税庁が定める耐用年数に基づいて数年に分けて減価償却資産として費用計上していきます。

一般的に、減価償却資産には、車やパソコン、設備機器、不動産の建物などがあります。

(不動産の土地部分については、時間の経過とともに劣化するものではないため、減価償却の対象にはなりません。)

その上で、中古の減価償却資産であれば、規定の計算方法により耐用年数が短くなります。

中古の減価償却資産を活用することで、短期償却ができるスキームです。

2、10万円未満の少額減価償却資産を使ったスキーム

10万円未満の固定資産は、「少額減価償却資産」となり、費用として全額がその期に損金計上できます。

「少額減価償却資産」とは、以下2つのいずれかを満たすものを指します。

  1. 使用可能期間が1年未満のもの
  2. 取得価額が10万円未満のもの

上記いずれかを満たした固定資産を複数購入することで投資額の全額を一括償却できるスキームです。

3、中小企業経営強化税制を使ったスキーム

この制度は、中小企業庁による、設備投資による企業力の強化や生産性向上を後押しする制度となります。

この制度を利用することにより、以下の2点が実現します。

  1. 固定資産税が3年間1/2になる
  2. 投資金額が即時償却または取得金額の10%の税額控除

なお、制度を利用するには、経済産業局や工業会等より経営力向上計画の認定を受ける必要があり、認定までには一定の期間は要します。

そのため、決算対策での投資は、余裕をもった上で行うことをお勧めします。

4、海外法人の設立を使ったスキーム

日本の法人税率は約34%に対して、海外には無税や低税率の国・地域が多くあります。

このような国や地域を、タックスヘイブンと言います。

タックスヘイブンと言われる場所に海外法人を設立し、その会社と国際取引を行うことで、税制メリットを受けることができます。

海外法人が得た利益は現地の法人税率が適用されるため、日本よりも法人税が安くなるスキームです。

5、匿名組合への出資を使ったスキーム

このスキームを利用した代表的な節税は、航空機、タンカーオペレーティングリースがあります。

一般的に航空会社は、飛行機をリースにて使用しています。

航空会社へ機体を貸し出すリース会社は、投資家より購入資金を集めますが、その際「匿名組合」を作ります。

実際に機体を購入するのは匿名組合であり、投資家は「匿名組合へ出資」という方法をとることにより、減価償却による損金計上をしなくてよくなります。

そのため、決算直前でももし募集プランがあれば、投資金額の70%から80%を損金算入できます。

6、掛金が損金になる積立商品を使ったスキーム

毎月、毎年といったように一定の掛金を積立ることで、掛金が損金になる節税スキームです。

代表的なものには、倒産防止共済共済(経営セーフティーネット)や法人保険があります。

損金性や契約期間はさまざまです。

全額損金のものもあれば、1/2損金などもあります。

早期解約をした場合には大きく元本割れしてしまうことがありますので、確実に払い続けられるだけの金額を設定した上での加入が重要となります。