保険における利益の繰り延べと節税の違いとはなんでしょうか。

渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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税金対策に法人保険を使う場合において、利益の繰り延べと節税の違いはなんでしょうか。
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「利益の繰り延べ」とは、保険などを使って利益を先送りにすることを意味します。
つまり、「いつか税金を支払わなければならない」ということになります。
法人保険の加入による、繰り延べと節税の違いをご説明いたします。
たとえば、500万円の利益が出た場合、保険に未加入では500万円×30%の150万円の法人税がかかります。
それを避けるために、保険へ加入します。
利益の繰り延べ
- 500万円の保険に加入
- 全額損金保険であれば、500万円をその期の損金にできる
- 解約時の返戻率が90%であれば、450万円の解約返戻金を受け取れる
- 解約時に450万円に対する法人税30%の135万円を支払う
※結局、保険未加入とほぼ同じ金額が損失
節税
- 500万円の保険に加入
- 全額損金保険であれば、500万円をその期の損金にできる
- 解約時の返戻率が90%であれば、450万円の解約返戻金を受け取れる
- 設備投資や大規模修繕、退職金などの「経費」として認められる用途(出口戦略)を準備する
- その用途(出口戦略)に450万円を投じる
- 全額が経費となり、法人税の135万円(450万円×30%)を削減できる
利益の繰り延べと節税の違いは、上記のとおりです。
また、5年、10年と解約時期まで保険料の継続支払いが発生しますので、無理のない金額を設定する必要があります。
保険に加入しても出口戦略がなければ、税金の支払う時期を先送りにしたことにすぎませんので、出口戦略を準備することが重要です。
クライアントが加入した保険には、出口戦略があるものもあれば、まだ検討中のものもあります。
加入時に出口戦略がなくても、加入の途中で検討する方法もご紹介していますので、ぜひ加入事例を参考にしてください。
- 500万円の保険に加入