小規模企業共済の解約時にはどのように税金がかかるのでしょうか。

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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退職金準備のために、小規模企業共済の加入を考えています。

掛金を所得から控除でき、節税になることはわかりました。

しかし、将来解約したときには、所得税がたくさんかかるのではないでしょうか。

解約したときに税金がどのようにかかるのか教えてください。

受け取りは、年金受け取りではなく一時金として受け取ることを考えています。

受け取り時にも税制優遇がありますので、多額な所得税がかかることはありません。

なお、受け取り金の税制上の扱いは、条件によって異なります。

一時金として受け取る場合には「退職所得」か「一時所得」のどちらかになります。

役員を退任する際に受け取るお金は「退職所得」になります。

また、65歳未満で退任せずに自己都合で解約した場合には「一時所得」になります。

どちらの場合も税制優遇が受けられますが、所得区分と課税方式の違いから税金額には違いが生じます。

1、「退職所得」で受け取る場合

退職所得には、以下の税制上の優遇があります。

  • 勤続年数に応じて退職所得控除が受けられる
  • 課税対象額は、「退職金ー退職所得控除額」の半分となる
  • 課税方式は、分離課税方式となる

2、「一時所得」で受け取る場合

一時所得には、以下の税制上の優遇があります。

  • 特別控除額として50万円を控除できる
  • 課税対象額は、「退職金ー特別控除額」の半分となる

なお、課税方式は、総合課税となりますので、他の所得と合算して所得税を計算することになります。

具体的なケース

勤続年数25年で共済金2500万円を受け取った場合の、1と2の課税対象額を比較してみます。

なお、本共済の勤続年数は、納付期間のことを指します。

1、「退職所得」で受け取る場合

勤続年数が25年の場合の退職所得控除額は1150万円です。

課税対象額は、「退職金ー退職所得控除額」の半分のため、以下になります。

2500万円ー1150万円×1/2=675万円

2、「一時所得」で受け取る場合

課税対象額は、「退職金ー特別控除額」の半分のため、以下のとおりです。

2500万円ー50万円×1/2=1225万円

課税対象額は、1の方が2よりも約半分少なくなります。

そのため、「一時所得」ではなく「退職所得」として受け取る方がより多くのメリットがあります。

この制度は、納付が困難になった際には最低1000円まで掛金を減額できます。

もちろん、余裕ができたときには増額もできます。

そのため、減額を活用しながらでも自己都合で解約するのではなく、退職金として共済金を受け取ることをおすすめします。

小規模企業共済の詳細ページは以下をご覧ください。