少額減価償却資産の特例(30万円未満)を使った節税を教えてください。

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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30万円未満の資産は全額経費にできると聞きました。この特例を節税に活用する方法を教えてください。また、どのような資産が対象になりますか?

中小企業者は取得価額30万円未満の資産を購入年度に全額損金にできます。年間合計300万円まで適用可能です。

通常、10万円以上の資産は法定耐用年数にわたって減価償却します。 しかし中小企業者は、取得価額30万円未満の資産であれば購入年度に全額を損金算入できる特例があります。

制度の概要

項目内容
対象者青色申告をしている中小企業者
対象資産取得価額30万円未満の減価償却資産
年間上限合計300万円まで
損金算入購入年度に全額

対象になる資産の例

  • パソコン・タブレット・スマートフォン
  • カメラ・音響機器・映像機器
  • 事務用家具・什器
  • ソフトウェア(1本30万円未満のもの)
  • 工具・測定機器

活用のポイント

決算直前に利益が出た場合、30万円未満の資産を複数購入することで利益を圧縮できます。

たとえば28万円のパソコンを10台購入すれば280万円が当期の損金になります。

注意点

この特例は「資金を使って資産を購入する」ことが前提です。 手元資金が減ることを忘れてはなりません。たとえば300万円分の資産を購入して損金にできたとしても、法人税の軽減効果は税率分(約30%なら約90万円)にとどまり、残りの210万円は現金として出ていきます。

「節税のために買う」という発想で不要な資産を購入すると、キャッシュフローを悪化させる原因になります。

また、年間300万円の上限は毎期リセットされますが、購入できる資産・必要な資産がなければ繰り返し活用できるものではありません。あくまで「必要な設備投資のタイミングと決算期を合わせる」ことで効果を発揮する特例として理解しておくことが重要です。

まとめ

少額減価償却資産の特例は、30万円未満の資産を購入年度に全額損金算入できる、中小企業にとって使い勝手のよい制度です。決算直前の利益圧縮手段として有効ですが、資金が実際に出ていくことと、節税額は税率分にとどまる点を正しく理解した上で活用することが重要です。

「節税のために買う」ではなく「必要な投資を節税効果の高いタイミングで行う」という発想で設計することが、キャッシュフローを守りながら節税する正しい活用法です。

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