役員報酬額を上げることを検討していますが、それに伴い社会保険料の負担が大きくなることを懸念しています。何か対策はありませんか。
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運送業の中小企業経営者です。
役員報酬について、会社が軌道に乗るまでは社会保険料を抑えるため、役員報酬額を月給58,000円で設定してきました。
売上が安定してきたため、来年度から20万円へ役員報酬額を上げることを検討していますが、それに伴い社会保険料の負担が大きくなることが懸念点です。
その点に対してなにかアドバイスがあればお願いします。
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役員報酬を上げるのではなく、旅費規程の導入をすることにより非課税所得を受け取れる方法がございます。
旅費規程では、出張にかかる以下3つの費用を会社から個人へ支給することができます。
- 交通費
- 宿泊費
- 日当
これらのお金は非課税所得ですので所得税、住民税、社会保険料がかかりません。
また、旅費規程導入後の精算方法は実費精算ではなく、規程に基づいた精算方法になります。
加えてこちらは社内規程となりますので、自由に金額を設定することができます。
そのため、実費よりも多くの金額を個人に支給できるようになり、実費を差し引いた残りを非課税で受け取れるようになります。
以下、当社の導入事例となります。
東京-大阪間
精算方法 支給額 旅費規程なし 実費精算 37,240円 旅費規程あり 規程に基づく精算 70,960円 旅費規程を導入すると、以下のようになります。
- 70,960円が会社に損金計上できるようになる
- 70,960円を個人に支給できるようになる
なお、交通手段やルートに決まりはありません。
そのため、上記ケースでは、規程額から実費分を引いた(70,960円ー37,240円)約3.3万円が残ります。
1回の東京-大阪間の出張で約3.3万円、年間では約40万円が非課税で受け取れます。
出張回数を増やすと支給できる金額も多くなります。
詳しいページは以下をご覧ください。
なお、この方法で社会保険料は削減できますが、その分厚生年金額が減るなど、デメリットもありますので、十分に検討した上で実施をしてください。
このQ&Aの回答者
渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
近畿税理士会所属:登録番号128780
- これまでの経歴
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- 国税局 調査第一部 国際調査課
- 国税局 調査第一部 特別国税調査官
- 国税不服審判所(本部)
- 著書
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- ミス事例でわかる 法人税の実務ポイント新日本法規出版
- 業種別税務調査のポイント - 国税調査官の視点とアドバイス新日本法規出版
- 図解・詳解 組織再編税制清文社
このQ&Aの回答者

渡邊 崇甫税理士(元国税局調査官)
近畿税理士会所属:登録番号128780
一般的な企業税務はもちろんのこと、国際税務、組織再編、金融取引等、税務上の取扱いが困難・複雑とされる分野についても実務ノウハウを蓄積。
- これまでの経歴
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- 国税局 調査第一部 国際調査課
- 国税局 調査第一部 特別国税調査官
- 国税不服審判所(本部)
- 著書
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- ミス事例でわかる 法人税の実務ポイント新日本法規出版
- 業種別税務調査のポイント - 国税調査官の視点とアドバイス新日本法規出版
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