美術品の購入費用を経費計上することはできますか。
渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
- 詳しいプロフィール
公開日:
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会社の応接室に来客があった時に味気ないので美術品を飾ろうと思います。購入費用を経費計上することはできますか。
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取得価格が100万円未満なら経費計上ができます。
また、30万円未満の場合は即時償却で処理することができます。
即時償却が可能なケース
取得価格が1点10万円未満
取得価格が1点10万円未満の場合、少額減価償却資産の扱いになり即時償却ができます。
取得価格が1点30万円未満
取得価格が1点30万円未満の場合、中小企業を対象とする少額減価償却資産の特例を利用することで即時償却ができます。
なお、年度内の取得価格の合計金額が300万円を上限とします。
上限を超えた取得品に関しては即時償却はできず、耐用年数に合わせての減価償却となります。
国税庁:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
即時償却の対象ではないケース
取得価格が1点100万円未満の場合は法定耐用年数に合わせた減価償却になります。
1点100万円以上の場合は減価償却ができません。
なお、1点100万円以上の場合でも、「時の経過により価値が明らかに減少することが明らか」なものとして以下の項目を全て満たす場合は減価償却が可能です。
- 会館のロビーやホールのような不特定多数の者が利用する場所の装飾用や展示用(有料で公開するものを除く)として取得されるもの
- 移設することが困難で当該用途にのみ使用されることが明らかなもの
- 他の用途に転用すると仮定した場合に、その設置状況や使用状況から見て美術品等としての市場価値が見込まれないもの
わたしのクライアントの購入事例
30万円未満の絵画を3点購入し、100万円以上の絵画も購入されました。
それぞれ異なった処理を行いました。
30万円未満の絵画
30万円未満の絵画は3点で、年度内の購入額の合計が300万円未満でした。
そのため少額減価償却資産の特例で全て即時償却ができました。
クライアントは来客者への印象を良くするために応接に応接室に装飾しています。
元々応接室にあった観葉植物などに加えることで、与える印象がさらに良くなりました。
100万円以上の絵画
約120万円の絵画1点を運営されているワインバーの装飾用として購入されました。
以下の環境から減価償却が可能な条件を満たしているため、8年での減価償却の処理ができました。
- ワインバーには不特定多数の来店客がくる
- 絵画を移動できないように設置している
- 使用状況が保存に適しているとは言えず、劣化、損傷により市場価値がなくなることが見込まれる
店舗の雰囲気作りにも役立ち、来店客への印象にも影響を与えます。
購入金額以上の価値を店舗に与えてくれています。