「中小企業経営強化税制」を活用した一括償却を利用した節税は、どのくらい手続きに時間が必要でしょうか。

- 詳しいプロフィール
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今期の決算対策として「中小企業経営強化税制」を使用した投資を検討しています。
手続きについては、中小企業庁のサイトなどを見ていると各機関への申請手続きが必要でややこしそうなのですが、今期の節税として間に合わせるにはいつから準備が必要でしょうか。
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今期の節税対策として投資したお金を即時償却にするには、必要書類の手配から申請書類の作成、申請後認定までの期間を含めて決算の約3ヶ月前からの対応をおすすめします。
以下、「中小企業経営強化税制」を利用してマイニング事業に投資をした当社の経験から、制度を使って投資金額を即時償却にするながれをお伝えします。
ご存知のとおり「中小企業経営強化税制」は、中小企業庁による、設備投資による企業力の強化や生産性向上を後押しする制度となります。
この制度を利用した場合、以下の2つを受けられます。
- 投資した全額を即時償却または法人税を取得価額の10%税額控除できる(資本金3,000万円超1億円以下の法人 は7%)
- 税額控除を選択した場合、固定資産税が3年間1/2になる
当社が投資した事業は、マイニングマシンを購入し、事業者に採掘を委託することで実績に応じた収益を受け取り、投資金額を回収するものです。
この事業投資として、「即時償却」を選択しました。
なお、制度には設備投資の目的に応じていくつかのタイプがあり、手続きはタイプによって異なります。
タイプ 生産性向上設備(A類型) 収益力強化設備(B類型) デジタル化設備(C類型) 要件 生産性が旧モデル比平均1%以上 投資収益率が年平均金5%以上の投資計画に係る設備 遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかを可能にする設備 確認者 工業会等 経済産業局 経済産業局 対象設備 機械装置(160万円以上) 機械装置(160万円以上 機械装置(160万円以上 測定工具及び検査工具(30万円以上) 工具(30万円以上) 工具(30万円以上) 器具備品(30万円以上) 器具備品(30万円以上) 器具備品(30万円以上) 建物付属設備(60万円以上) 建物附属設備(60万円以上) 建物付属設備(60万円以上) ソフトウェア(70万円以上) ソフトウェア(70万円以上) ソフトウェア(70万円以上) 当社のケースではA類型での申請を行いました。
手続きのながれは以下のようになり、申請から認定までにかかった期間は約2ヶ月半となります。
- 事業者よりマイニングマシンを購入する
- 事業者に工業会証明書の発行を依頼
- 約1~2週間後、工業会証明書の発行が完了
- 経済産業省へ認定を受けるため、事業者が提携する専門家へ税務申告書類の作成を依頼
- 事業者へ直近3年間の決算報告書データを提出
- 工業会証明書と税務申告書類を併せて経済産業省へ申請
- 認定
当社自身で上記の手続きを行うことも可能でしたが、この書類作成や手続きに時間をかけるのは非効率なのと、ミスでやり直しが発生する可能性も高いです。
そのため、事業者が提携する専門家が代行してくれるとのことから委託をしました。
なお、今回の一連の手続きにおいてかかった費用は20万円(税抜)でした。
申請までのやりとりにおいて内容に修正が必要な場面が生じることも考え、決算対策としては約3ヶ月の余裕を見た上での対応をおすすめします。
また、制度は2023年3月末までの適用となりますのでご注意ください。
以下より、当社が投資したマイニング事業の投資事例をご覧いただけます。