法人における収益不動産(鉄筋コンクリートマンション)の売却益の計算方法を教えてください。

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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法人における収益不動産(鉄筋コンクリートマンション)の売却益の計算方法を教えてください。

5000万円で購入した新築物件を5300万円で売却しました。

この場合、売却益は5300万円から5000万円を引いた300万円に対して税金がかかるという理解でいいでしょうか。

いいえ、税法上の売却益の考え方は異なります。

売却益の計算方法は以下のとおりです。

売却益=売却金額-売却時の帳簿価額

「売却時の帳簿価額」とは売却時の物件の価値をあらわしたものとなります。

不動産は、建物部分を減価償却していくことになりますので、建物価格から償却された価格をひいた土地建物の価格を指します。

ですので、「売却時の帳簿価額」を求める上で取得時の建物価格と償却された価格が必要になります。

取得時の物件価格5000万円のうち、土地、建物価格の内訳はお分かりでしょうか。

御社のご契約の税理士や会計士さんがいらっしゃいましたら一度ご確認をしていただけたらと思います。

なお、帳簿価額は、取得時の価値から減価償却するにつれて減少していき、最終的には0になっていくものです。

よって、まずは購入当初から現在までにどれだけの減価償却を行ったかをお調べしていただき、売却した際の価値を把握する必要があります。

年度の途中で売却しても月割り計算はしませんので、前期末の残高価格が売却時の帳簿価額となります。

9月決算法人で2021年7月に売却した場合、2020年9月時点での帳簿価額のことを指します。

たとえば、以下の条件で売却した場合、売却益の計算は下記のとおりです。

▼条件

  • 物件価格5000万円(建物2000万円ま、土地3000)
  • 鉄筋コンクリートマンション
  • 新築
  • 所有年数7年

▼売却益の計算

  • 建物価格:2000万円
  • 減価償却年数:47年
  • 1年あたりの減価償却金額:63万円(2000万円÷47万円)
  • 所有する7年間で償却した金額:441万円(63万円×7年)
  • 建物残存価格:1559万円(2000万円-441万円)
  • 売却時の帳簿価額:4559万円(1559万円+3000万円)
  • 売却金額:5300万円

売却益の計算

売却益=売却金額-売却時の帳簿価額

5300万円-459万円=741万円

この例では、741万円が益金となり法人税の対象となります。

益金に対しては、法人税がかかりますが、不動産売却損益は事業や株取引などすべての損益と合算して計算することになりますので、その他損失がありましたら相殺することができます。

以下は、私のクライアントのサクセスフューチャーが6年4か月保有した鉄筋コンクリートの不動産物件を法人売却した事例をご紹介したページとなります。

よろしければご覧ください。

鉄筋コンクリートの中古マンションを6年4か月保有し、売却した事例