配偶者を役員にすると、控除の面でどのようなメリットがありますか?

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渡邊 崇甫税理士(元国税局 調査官)
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妻が会社の事務を手伝っています。妻を役員として報酬を支払うことを検討していますが、配偶者控除との関係はどうなりますか。また、税務上のメリット・デメリットも教えてください。

配偶者に役員報酬を支払うと配偶者控除は使えなくなりますが、報酬分が法人の損金になり、給与所得控除が新たに使えます。トータルでは節税になるケースが多いです。

配偶者控除と役員報酬の関係

配偶者控除は、配偶者の年収が48万円以下の場合に最大38万円が控除される制度です。配偶者に役員報酬を支払うと、その収入が48万円を超えた時点で配偶者控除は使えなくなります。

トータルの節税効果はプラスになるケースが多い

配偶者控除(最大38万円)を失う一方で、以下の節税効果が生まれます。

効果内容
法人の損金増加配偶者への報酬が全額損金になる
配偶者側の給与所得控除最低55万円の控除が新たに発生
所得の分散世帯全体の税率を抑えられる
配偶者の社会保険加入将来の年金受取額が増える
具体的な試算例(配偶者への報酬:月10万円・年120万円の場合)
項目金額
法人の損金(年間)120万円
配偶者の給与所得控除55万円
配偶者の課税所得65万円
配偶者の所得税・住民税(約15%)約10万円
法人税の節税(税率30%)約36万円
差引き節税効果約26万円/年

あくまで試算の目安です。税率・社会保険料の負担状況・配偶者の他の収入によって結果は大きく変わります。実際の試算は顧問税理士にご確認ください。

税務上の注意点

配偶者への役員報酬が損金として認められるには、実際に業務に従事していることが前提です。以下の点を整えておくことが重要です。

  • 業務内容が明確であること:事務・経理・営業補助など、具体的な役割を定めておく
  • 勤務実態の記録:出勤簿・業務日報など、実態を示す記録を保管する
  • 報酬額の妥当性:業務内容に見合った金額であること。過大な報酬は税務調査で問題になる可能性があります
  • 株主総会での決議:役員報酬の決定は株主総会の議事録として残しておくことが必要です

名目だけの役員と判断されると損金算入を否認されるリスクがあるため、実態の整備は加入前から計画的に行うことをおすすめします。

まとめ

配偶者を役員にして報酬を支払うことは、配偶者控除を失う一方で法人の損金増加・所得分散・給与所得控除の活用といった複数の節税効果が生まれるため、トータルではプラスになるケースが多い手段です。ただし勤務実態の整備と報酬額の妥当性が税務上の前提条件になるため、設計段階から顧問税理士と連携しておくことが重要です。

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